予想のできない動き

投資は自分以外の優秀な方の手腕によって得られた利益の分け前を頂戴するもので、投機は一瞬のタイミングを計ることで売買差利益を得ることですが、対象となる株式や債券などの金融商品の価格というものは、3パターンの動きしかありません。それは、上がるか、下がるか、横ばいかで、需要と供給のバランスによって、常に変動しつつ、政治や経済、国内外の様々な動きの影響も受けながら、あまり予想のできない動きを繰り返しています。

過去は参考程度

そのようななか、過去のチャートや様々な指標を分析することにより、長期的なトレンドや価格推移の傾向をつかみ、価格の値ごろ感のあるものをベストなタイミングで売買できるのが理想ではありますが、投資においては、過去の動きは参考程度にしつつ、目先の予想には頼らず、経営者の手腕や人格、事業の成長性や参入障壁の有無などに焦点をあて、経営者になったつもりで未来を想像してみる姿勢が大切です。

未来は誰にも分らないため、ヘッジが不可欠

とは言え、未来のことは誰にも分かりませんので、一方向だけに賭けるのではなく、常にどちらの方向に動いても利益が出せるようにヘッジしておくのが、投資でも投機でも負けないためのコツです。最も簡単なヘッジ方法は、正反対の動きをするものとのバランスを考慮することで、上昇局面では下落し、下落局面では上昇するような逆相関関係にあるものとの組み合わせです。

定説が通用しない時代

かつての株式と債券は、逆相関関係にあったようですが、最近では、あまり正反対には動かず、同時に上昇、同時に下落することもあり、ヘッジには向かなくなりつつあります。また、株式と金(ゴールド)などの現物も、逆相関関係にあると言われてきましたが、最近では同一方向に動く場面もあり、定説が通用しにくい時代なのかも知れません。

正反対に動くもの

そうなると、ほぼ確実に正反対に動くものとすれば、同じ商品の買いポジションと売りポジションということになります。横ばいが長期間続くようなものさえ選択せずに、基本的には波のように上がったり下がったりしていて、売買代金や参加者が多く、世界的な商品やサービスのシェアを握るような上場会社の株式の買いと売りの両建てであれば、常に逆相関関係が成立することとなり、上がろうが下がろうが、ポジションバランスを調整しながら、ほとんど損切りをする必要もなく、決済ごとにトータルで利益を確定させていけばいいのです。

わずかな時間で淡々と

要するに、上昇しようが下落しようが、両建てである以上、どちらか利益が出ている方だけを決済していくだけで、ポジションバランスを大きく崩さないように意識しながら、ほとんどチャートを見る必要もなく、わずかな時間で淡々と判断できれば、恐怖や不安を感じることもないのです。逆にチャートを見過ぎると、ポジションを動かしたくなるのが人間ですので、ほとんど見なくて済むような時間帯でしか値動きを確認したり決済したりしないなど、自分なりのルールを強く意識しておく必要はありますが、それができれば、暴騰や暴落の際でも世間の恐怖や不安を淡々と利益に変えるだけになってしまうのです。

By hb