2022年度からスタート

いよいよ来年度から、高校の家庭科において「金融教育」が始まるようです。とは言っても、教科書で数ページ程度、授業時間は数時間程度とのことですから、どれほどのインパクトがあるのかは未知数ですが・・・。気になるのは、教える立場になる大多数の先生方自体が、恐らくは金融知識をもとにした資産形成を必要としなくても、ライフプランが成立しそうななかにおいて、金融知識や指導法を頭に入れたとしても、経験や技術が伴わないなかで、どれほど熱意をもって教え導くことができるのかというところです。もちろん、初めから上手く指導できることを想定せずに、授業で実際に教えながら問題点や課題を見出し、年々改善しながら長い時間をかけて金融教育のあるべき姿を創り上げていくということであれば、まずは一歩を踏み出すことに意義や価値があるのかもしれませんが・・・。

教育の品質を重視するなら

当然ながら教える側としては、それなりの指導要領を体系立てて準備をし、事前に様々な研修などで研鑽を重ねたうえでの実施になるとは思いますが、それでも経験が少ないことを教科書的に教えられたとして、どれほどの教育効果が期待できるのかには疑問が残ります。どうせなら、今のようなテクノロジーが進化した時代を最大限活用して、知識も経験も実績もある優れた方を選び出し、動画やリモートで授業を実施するほうが、教育の品質を均等にするとともに、高い品質のものが期待でき、興味や意欲を引き出せる可能性も高まるのではないかと思います。

勤勉さが重視されてきた

日本は金融リテラシーが低い国というイメージが定着しているようですが、その原因の一つが、金融教育が行われてこなかったことにあり、一部の学校や一部の家庭では行われているものの、お金の話をタブー視しがちな日本においては、お金のことは二の次にして、お金を稼ぐための勤勉さや誠実さに焦点をあて、汗の労働やまじめにコツコツと働くことによって、お金は後からついてくるぐらいのイメージを重視されてきたからではないかと思います。

金融知識や技術を軽視せず適正に評価し教育

その延長で、汗の労働で稼いだ収入の中から、コツコツ貯蓄をすることの大切さを強調するばかりではなく、かと言って軽視することもなく、人類の歴史の中で生み出された様々な金融に関する知識や技術、英知や実績を適正に評価するとともに、労働に偏ってきた収入の柱を増やすことによる効果や利点、落とし穴なども含めた教育プログラムを施すことができるのなら、これから社会を担う未来ある学生たちの不安や躊躇を減らし、期待と希望をもって行動を促すことにつながるはずです。

FPへの期待

そういう意味では、これから金融教育が求められる時代において、私たちFPへの期待が高まっていかなければならないはずですし、その役割を果たすため、FPの地位向上のため、中立な立場を保ち利益相反を排除するためにも、金融商品販売からは距離を置き、手を引くなど、会社の利益や自らの成績や利益を優先することなく、良いことも悪いことも裏表なく本当のことだけを伝えられる伝道師的な活躍を目指して、自らを律し、日々研鑽していくことが大切であると肝に銘じておきたい。

By hb