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収入と社会保険料の連動
例えば、会社員の場合、給与が上昇すればするほど、それに連動して社会保険料も上がります。雇用保険料は、毎月の通勤交通費も含めた総支給額に対して、本人負担分の保険料率を乗じた額が控除され、社会保険料は、標準報酬月額の等級に応じて本人負担分の保険料が決まります。
つまり、給与の総支給額が多くなればなるほど、それに連動して保険料も上昇する仕組みになっています。もちろん、逆もあり得ますので、給与の総支給額が下がれば、保険料は下がることとなります。
いずれにしても、収入と連動しているため、給与が上昇したとしても、手取りベースでは社会保険料率分減ってしまうのが現実です。
雇用保険と社会保険の料率
現在の雇用保険と社会保険の料率は、下記の通り、本人負担分が約15.5%(協会けんぽ大阪支部の場合)となっておりますので、もし給与が月1万円上昇した場合、ざっくり手取り額は、月8,500円程度となり、月5万円上昇の場合、ざっくり手取り額は、月42,000円程度となります。
区 分 | 本人負担分 | 備 考 |
雇用保険料率 | 0.30% | |
健康保険料率 | 5.15% | 都道府県別 (Min4.75%~Max5.34%) |
介護保険料率 | 0.90% | 40~64歳 |
厚生年金保険料率 | 9.15% | |
合 計 | 15.50% | (Min15.1%~Max15.69%) |
この中で、給与の額が将来の給付に反映されるのは、雇用保険と厚生年金保険で、健康保険や介護保険については、保険料負担が多かったからといって、保険給付の額には影響しないため、累進課税の税金に似たような性質をもっていると言えます。
給与収入とは別の収入の場合
以上のように、社会保険料と連動しているのは、社会保険に加入している会社から得られる給与収入であり、給与収入は増やせば増やすほど、社会保険料も増えてしまい手取りが少なくなるのです。
しかし、給与収入とは別の収入となる「副業」の場合、例えば、フリーランスとして「業務委託契約」で仕事を請け負う場合や、自分で商品を仕入れてネット等で販売する場合、不動産を購入して賃貸収入を得る場合などは、社会保険とは連動しないため、累進課税的な社会保険料負担を回避することができるのです。
昨今、副業を解禁する企業が増えつつあり、本業に支障のない範囲で、様々な知識や経験をもとに仕事を請け負ったり、自分で商売をしてみたり、給与収入だけではやっていけないという事情のある場合のみならず、時代の流れを味方につけて、これまで会社の仕事が忙しすぎて、副業にチャレンジできなかった方々が、コロナ禍における自粛モードや在宅勤務を機に、給与収入とは別の収入の確保に取り組む傾向があるのです。
分断のメリット
給与収入と社会保険料との連動を分断し、副収入を得ることによるメリットとしては、次のようなものがあります。勿論、メリットの裏返しとしてのデメリットになる面もありますが、ここでは、メリットに目を向けてみます。
- 社会保険料のことを気にしなくて済む
- 副業(事業)収入を得ることにより必要な経費を活用できる
- 副業(事業)がうまくいけば、莫大な収入を生む可能性がある
- 確定申告をすることにより税金の知識が身につき、税金を味方につけられる
- 会社の仕事以外での人間関係やコミュニティが生まれ、活動の幅が広がる
- 自分の人生で本当にやりたいことや得意なことを見つけることができる などなど
行動するかしないか
何事も、知っていることとできることの間には大きな壁があるものですが、知っていることをできるようにするためには、何よりも行動して行動して、失敗もしながら、学び、工夫し、継続し、小さな成功体験を積み重ねるなかで、いつの間にかできるようになっているものではないでしょうか?
自分にとっての適正なリスクの取り方を身につけるためにも、小さく始めて、小さな失敗をクリアしながら、一歩一歩自分にしか歩めない人生を切り開いていきたいものです。